
状況
解体工事を専門に手掛けているお客様から、「500万円以上の解体工事を請け負えるようにしたい」とご相談をいただきました。すでに解体工事業登録は済ませておられましたが、お話を伺う中で、そもそも「解体工事業登録」と「建設業許可(解体工事業)」が別物であることをご存知なく、混同されていることが分かりました。
問題点
解体工事に関わる許認可は、混同されがちですが明確に区別されています。
①建設業許可(解体工事業)と解体工事業登録の違い
解体工事業登録は、あくまで500万円未満の軽微な解体工事を行うための登録制度です。500万円以上の解体工事を請け負うには、建設業許可(解体工事業)の取得が必須となります。根拠となるのは建設リサイクル法第21条で、次のように定められています。
解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
(建設リサイクル法第21条)
②解体工事業登録が不要になるケース
次のいずれかの建設業許可を持っている場合、解体工事業登録は不要です(ただし①②は500万円未満の解体工事に限ります)。
①建設業許可(土木一式)を持っている場合 ※500万円未満の解体工事に限る
②建設業許可(建築一式)を持っている場合 ※500万円未満の解体工事に限る
③建設業許可(解体工事業)を持っている場合
今回のお客様は、まさに「解体工事業登録は済んでいるが、500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が別途必要」という点でつまずいておられました。
③実務経験の証明でもハードルが
資格をお持ちでない場合、解体工事業の許可には解体工事の実務経験10年が必要です。しかし、この実務経験としてカウントできる範囲にも制限があります。
・解体工事業登録をしている会社での実務経験
・建設業許可(建築一式)を取っている会社での解体工事の実務経験
※工事一式に解体工事が含まれるものは不可。解体工事単体の施工実績が必要
・建設業許可(土木一式)を取っている会社での解体工事の実務経験
※工事一式に解体工事が含まれるものは不可。解体工事単体の施工実績が必要
・建設業許可(とび土工)を取っている会社での解体工事の実務経験
※とび土工の附帯工事としての解体工事は不可。解体工事単体の施工実績が必要。平成28年6月1日以降の実績は、原則として実務経験としてカウントできません
今回のケースでは、過去の実務経験の多くが「工事一式」の中の一部として解体工事を行っていたもので、解体単体の施工実績として証明できる資料が乏しいことが判明しました。
当事務所の対応
お客様には、実務経験による証明が難しい状況を踏まえ、以下の2つの方向性をご説明しました。
①資格による取得:一級土木施工管理技士、二級土木施工管理技士、一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、とび・とび土工工事業(一級)等の資格があれば、実務経験なしで要件を満たせます(平成27年度までの合格者は、合格後1年以上の解体工事の実務経験、または登録解体工事講習の受講が必要です)
②実務経験の再整理:解体単体での施工実績として証明できる工事請求書・契約書がないか、あらためて洗い出す
教訓・アドバイス
解体工事業の許可取得を目指す方は、次の点に特にご注意ください。
・「解体工事業登録」と「建設業許可(解体工事業)」は別物と理解する:登録だけでは500万円以上の工事は請け負えません
・資格の有無を早めに確認する:該当資格があれば、実務経験10年を証明する必要がなく、取得までの期間を大幅に短縮できます
・実務経験は「解体単体の施工実績」で残す:工事一式の中の一部としての解体では証明資料になりません。請求書・契約書の記載内容に日頃から注意しておくことが重要です
・登録の更新は5年ごと、登録手数料は新規33,000円・更新26,000円です。更新のタイミングと合わせて建設業許可への切り替えを検討するのも一つの方法です

建設業許可の要件は複雑で、ご自身の状況だけでは判断が難しいことも多くあります。「無理かもしれない」と諦める前に、まずはお気軽にご相談ください。早い段階でご相談いただくことで、対応できる選択肢が見つかることもあります。


参照元:福岡県ホームページ「解体工事業者の登録について」より